
「レインボーロードの次は、世界そのものを走り抜けろ!」――。
2025年6月、Nintendo Switch 2 と同時に登場した『マリオカート ワールド』は、シリーズ30年以上の歴史に新たなページを刻む作品です。
従来のマリオカートが「ひとつのコースでの戦い」だったのに対し、本作は“世界を舞台にした一大冒険”。プレイヤーはコースを単発で消化するのではなく、広大な大地を駆け抜け、都市から砂漠、雪山、そして海底まで――ひとつの大きなワールドの中を縦横無尽に走り続けるのです。
◆ 新時代を告げる「ワンワールド構成」
最大の特徴は、やはりワンワールド化です。
例えば、これまでは「マリオサーキット」から「チョコマウンテン」に進むとロードを挟んで別コースへ、という流れでした。しかし本作では違います。マリオサーキットを走り抜けると、そのまま山道へと繋がり、気づけばチョコマウンテンの麓に到着。シームレスに広がるマリオの世界を、レースのスピード感を保ったまま体験できるのです。
特に目玉モード「大陸横断ラリー」では、スタートからゴールまで一切途切れない長距離コースが用意され、プレイヤーは天候の変化や時間帯の移り変わりさえ感じながら、リアルタイムに冒険を繰り広げます。
◆ レースは“24人”時代へ
オンライン対戦は最大24人。アイテムボックスが奪い合いになる激しさ、前方からも後方からも飛んでくる甲羅の嵐、そして最後の直線で巻き起こる大逆転劇――。従来以上に「何が起こるかわからないドラマ」が待ち構えています。
また、観戦モードも充実しており、配信者や大会主催者にとっては見どころ満載のタイトルです。YouTubeやTwitchでの盛り上がりも発売直後から熱を帯びており、eスポーツ化の機運すら漂っています。
◆ レース以外の楽しみ方 ― フリーランモード
本作の意欲的な新要素が「フリーランモード」。
レースの緊張感から解放され、ただ気ままに世界をドライブすることができます。
夕暮れの砂浜でクッパと並走して写真を撮ったり、仲間と列を組んで街中をパレードのように走ったり。シリーズファンにとっては「マリオカートを観光として味わえる」という贅沢な時間が提供されています。
SNSではすでに「推しキャラと一緒に世界旅行」と題したスクリーンショットが数多く投稿されており、レースゲームを超えた“交流の場”としての側面も注目を集めています。
◆ キャラクターの厚みと驚きの参戦枠
もちろんキャラクターのラインナップも健在。
マリオ、ルイージ、ピーチ、ドンキーコングといったおなじみの面々に加え、なんと過去作で背景や障害物だった存在――たとえば「モーモーファーム」の牛が、ついに正式ドライバーとして参戦!
この“ウシ”の存在は発売直後からSNSを席巻し、海外では「#CowKart」がトレンド入り。真顔でハンドルを握る牛の姿に、プレイヤーの心は一瞬で射抜かれました。
「障害物だったあの子と一緒に世界を走る」という発想こそ、マリオカートの遊び心の真骨頂です。
◆ シリーズ伝統の“理不尽”も健在
マリオカートといえば、1位を走っているときに限って後ろから青甲羅が飛んできて逆転される、あの理不尽さ。『マリオカート ワールド』でも健在です。
しかしプレイヤーたちはそれを「理不尽」ではなく「笑い話」として楽しんでいます。
「トップを独走していたのに、ゴール直前で牛に抜かれた!」
「24人全員が最後のジャンプ台で大クラッシュ!」
――そんなドラマが次々と生まれ、SNSでシェアされ、また誰かが遊びたくなる。この連鎖こそが、マリオカートが“パーティゲームの王様”と呼ばれる所以です。
◆ 気になる課題と今後の期待
もちろん、改善を求める声もあります。
- 隠しキャラの解放条件がやや複雑で分かりにくい
- アイテムの運要素が強く、実力差が出にくい点に賛否
- 一部のシーンで処理落ちを感じることがある
とはいえ、こうした課題は今後のアップデートや調整で改善される可能性が高いでしょう。むしろ発売直後の熱狂を見るに、この“成長の余地”こそが長期的な盛り上がりにつながるはずです。
◆ 総評 ― 世界を走る楽しさを、誰もが
『マリオカート ワールド』は、単なるレースゲームではなく「世界を走る楽しさ」をすべてのプレイヤーに開放した作品です。
・ひとつなぎの大地を駆ける冒険感
・24人での混沌としたレースの熱狂
・推しキャラと旅行できるフリーランの自由さ
すべてが重なり合い、従来のファンも、初めてシリーズに触れる人も、一瞬でその世界に引き込まれる。まさに“シリーズの集大成”であり、“次なるスタンダード”でもあります。
マリオカートはこれまでも「家族や友人と遊ぶ定番」でした。しかし本作は、それを超えて「世界中のプレイヤーが同じ道を走り、同じ夕日を見上げる」体験を実現したのです。
マリオカートは再び進化しました。次にあなたが走るのは、もう“サーキット”ではなく“世界”そのものです。
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